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2017年1月17日

産総研、ReRAMの挙動を電流ノイズから解明

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)ナノエレクトロニクス研究部門3D集積システム研究グループは2017年1月13日、国立大学法人筑波大学・数理物質系物理工学域 大毛利 健治 准教授と共同で、幅広い電流レンジでノイズを計測する手法を開発し、不揮発性メモリとして研究開発が進められている抵抗変化メモリ(ReRAM)が100nAという超低消費電力で動作する際の挙動について明らかにした。
 抵抗変化メモリでは、酸化物層に含まれる酸素の欠損(酸素欠損)が材料の電気抵抗値に大きく影響を与え、メモリの低消費電力化に重要な役割を果たすことが予想されていたが、その具体的な挙動は明らかになっていなかった。今回、フィラメント状に電流が流れることで低抵抗状態が出現する動作モード(フィラメントモード)と、金属/酸化物界面全体で抵抗変化が起きる動作モード(界面モード)の異なる2つのモードで動作する同一構造の抵抗変化メモリを作製することに成功した。さらに、素子中を流れる電流の分布を可視化する電子ビーム吸収電流(EBAC)測定と電流ノイズ測定を行い、この抵抗変化メモリーが超低消費電流で動作する際の挙動について調べ、酸素欠損と電気的特性との相関を明らかにした。
 今回の成果は、酸素欠損を精密に制御することによって、不揮発性メモリのさらなる低消費電力化や高信頼性動作が期待できることを示唆しており、環境発電(エネルギーハーベスティング)や人工知能用デバイスなどへの用途拡大に貢献することが期待される。 低消費電力化が求められている。
 今回、ノイズの計測技術を不揮発性メモリに適用した。酸化物材料中の酸素欠損の量は、材料の抵抗値に大きく影響を与える。また、酸化物中でプラスに帯電した酸素欠損は、電子を捕捉したり、放出したりする性質を持っている。この現象は電流に微弱なノイズとして反映されることが予想されるため、電流の中に含まれるノイズを精密に計測することで、材料中の酸素欠損の状態を知ることができると考えた。さらに、このノイズの計測とともに、素子中を流れる電流の分布を可視化することができる電子ビーム吸収電流(EBAC)観察を併用した評価手法により、不揮発性メモリーの超低消費電流動作を詳細に調べた。
 今回、二酸化ケイ素(SiO2)と窒化チタン(TiN)を積層させたSiO2/TiN/SiO2を微細加工して微小な電極を形成し、ハフニウム酸化物 (HfOx)、チタン(Ti)、TiNを成膜し、抵抗変化メモリ素子を作製した。この作製方法の利点は、TiNの膜厚方向が電極の長さの一辺となるため、電極面積や素子サイズの極微細化を容易に実現できる点である。膜厚は成膜時間をコントロールして調節することができ、10 nm以下の厚さとすることもできる。また、微細加工した構造の側壁にメモリー素子を形成する今回の加工技術は、シリコン基板に垂直な方向にメモリー素子を積層して記録密度を高める三次元集積技術にも繋がる。 微細化するなどの工夫により、従来動作と低消費電力動作の双方を示すメモリ構造の作製に成功した。さらに、EBAC測定と電流ノイズ測定を、同一構造の試料で行えるようになっている。なお、実際の電極は積層構造となっているが、この図においては簡略化して示してある。
 この抵抗変化メモリでは、従来の抵抗変化メモリーと同等の100μA程度の電流での動作だけではなく、それよりも動作電流が3桁小さい100nA以下の超低消費電力でも動作した  低消費電力動作のメカニズムを解明するため、EBAC測定と電流ノイズ測定を行った。これらの測定はどちらも素子を加工することなく非破壊で行うことができる。例えば、あるメモリ素子の高抵抗状態における特性を評価した後、引き続き同一の素子の低抵抗状態における特性を評価することができ、さらに、同一の素子で低消費電力動作と従来動作とを比較することもできる。まず、EBAC測定の結果について低消費電力動作と従来動作とを比較すると、従来動作の場合、EBAC像には輝点が現れ、局所的な電流経路が形成された状態になっていることが確認された(フィラメントモード))。一方、低消費電力動作の場合、メモリー素子部分のEBAC像のコントラストはほぼ均一であり、電流がメモリー素子全体を流れている状態になっていた(界面モード)。  これまでは、遷移金属酸化物材料の種類に応じて、メモリー動作がフィラメントモードと界面モードのどちらをとるのか調べられてきたが、今回、同一の素子に二つのタイプのメモリー動作を共存させることに成功した。同じように作製した素子でも、酸素欠損などの微小な状態を同じに作製することは極めて困難である。しかし、同一の素子を用いてこれら二つのタイプのメモリー動作を調べることができれば、界面モードとフィラメントモードとで信頼性の高い比較が行える。  また、従来動作と低消費電力動作のそれぞれの低抵抗状態、高抵抗状態について、電流ノイズを計測した。ノイズは、電流を1 kHzから1 MHzで高速サンプリングすることにより計測し、時間領域と周波数領域の両方で解析を行った。ノイズの発生源である電子捕獲・放出が少ない場合は、周波数の2乗に対して強度が逆比例する1/f2ノイズが現れる。電子捕獲・放出が増えてくると、1/f2ノイズから1/fノイズに変わる。今回の測定で、低消費電力動作での高抵抗状態でのみ、1/f2ノイズが支配的になることが明らかになった。これは、低消費電力動作での高抵抗状態下では、ノイズに寄与する酸素欠損の数が限られているためで1/f2ノイズが観察されたと考えられる。逆に、低消費電力動作でも、低抵抗状態には依然として十分に多い数の酸素欠損が電気特性に影響を与えていることから、抵抗変化メモリーのさらなる低消費電力化、つまり低抵抗状態における電流値の低減のためには、電気伝導に寄与する酸素欠損の削減が必須であることが示された。
 現在、産総研では、高信頼メモリーシステムへの抵抗変化メモリーの応用研究や、抵抗変化メモリー技術を活用した脳型推論用アナログ抵抗変化素子の開発を実施している。どちらの研究開発においても、酸素欠損の位置や、その拡散の精密な制御を必要とするため、今回開発された技術は、これらの研究開発を大きく加速する。

URL=http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20170113_2/pr20170113_2.html








 

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